【登山試乗記】マツダ・CX-3 XDプロアクティブ
2019/04/10
ディーゼルエンジン搭載で低燃費なコンパクトSUVとして人気のマツダ・CX-3 XDプロアクティブ(2WD/6MT)を、実際に登山口まで走らせて登山者目線で実用性や走行性能・燃費をチェックします。
今回の走行地:高峰高原(車坂峠)~菅平高原~五味池破風高原~志賀高原(渋峠)
<目次>
– 乗った印象
● コンパクトカーよりワンランク上の質感
● 乗用車と変わらない運転感覚
● 斜め左後方の視界は良くない
– 積んだ印象
● 中ザックは4つ余裕で積載可能、大ザックはぎりぎり
● 仲間と大ザックで山へ行くならオプションのBOSEサウンドシステムは付けない方が無難
– 走らせた印象
● 高速道路から山道まで予想外に過不足ない走り
● 18インチホイールはやや過剰
● 急峻な登り坂ではもう少し低速トルクが欲しい
– 総評
● 燃費が良くて軽油も安いので経済的
● バランスの良いよくできたクルマ
– テスト車のデータ
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乗った印象
● コンパクトカーよりワンランク上の質感
今回試乗した車両は中間グレードのプロアクティブ(PROACTIVE)、合成皮革とファブリックのコンビシートでメーカーオプションのパワーシート・シートヒーター・ステアリングヒーターを装備。
一部ボルドーのドアトリムや赤いステッチが施され、ひと昔前のコンパクトカーよりも質感がワンランク高い印象。
シートは適度なサポートがあり、登山後の長時間の運転でも疲れを感じさせないつくり。
クルーズコントロール(MT車にも設定)はステアリングのボタンで親指を伸ばせばハンドルから手を離さずに操作可能。
● 乗用車と変わらない運転感覚
ドライバーズシートに着座するとボンネットラインとサイドウィンドウラインが高いため、車高が高い車に乗っている感じがなく普通の乗用車と変わらない運転感覚。
反面、未舗装の悪路ではフロントバンパー下部のアプローチアングルがわかりづらく慣れが必要。
カーナビなどはセンターコンソールのコマンダーコントロールで直感的に操作可能、地図のポインターを移動させる際にやや反応が悪いこともあり。
ヘッドアップディスプレイが装備されており、カーナビと連動して道路情報を表示してくれるので視線を前方に集中できる。
● 斜め左後方の視界は良くない
リアシートのレッグスペースは広くはないものの大人が座るのに必要なサイズは確保。
コンパクトなボディサイズとはいえ、Cピラーが太くこの手の車に共通して左斜め後方の視界は利かないので注意(2018年5月に発表されたマイナーチェンジモデルは360度モニター採用)。
積んだ印象
● 中ザックは4つ余裕で積載可能、大ザックはぎりぎり
トランクはバンパー開口部の通常時の容量が209L(荷室長×幅×高さ=690mm×990m×350㎜)、ボードを外すと深さ15㎝ほどのサブトランクがあり合計の容量は350L。
中ザックであれば縦向きでも収まるので、ザック側面を底にすればそのままでも4つ積載可能。
大ザックの場合は横向きでしか収まらないため、サブトランクを利用して4つぎりぎり。
オプションのBOSEサウンドシステムを装着するとサブトランクの深さは7㎝ほどに半減して合計容量は287Lとなるため、大人数で山へ行く人には不向き。
走らせた印象
● 高速道路から山道まで予想外に過不足ない走り
1.5Lのディーゼルターボエンジンは105馬力ながら車重が1250㎏と比較的軽く、トルクがあるため高速の追越し加速から山道の登坂まで過不足ない走り。
ミッションが6速まであるため高回転まで回す必要もなく、昔のディーゼルのような騒々しさはなし。
ボディサイズが手頃で林道でも扱いやすく、今回の試乗車は2WDなので悪路走行はしていないものの未舗装路でも特に不安なく走破。
● 18インチホイールはやや過剰
18インチのホイールに215幅のタイヤは高速での安定感が高く、G-ベクタリングコントロール技術によりコーナリングもスムーズ、ベースとなるデミオの後輪ブレーキがドラム式に対してCX-3はディスクブレーキのため下り坂でも安心して曲がることが可能。
その反面、ある程度の速度域で段差などを通過するとバタつき感と共にハンドルをとられやすく、18インチはやや過剰に感じることも。
● 急峻な登り坂ではもう少し低速トルクが欲しい
通常の走行では気になることはないものの、1速と2速のギア比が離れているため、五味池破風高原のようなヘアピン急カーブが続く急登区間で1600回転以下になると1速まで落とさないと加速しないことも。(マイナーチェンジモデルは排気量が大きくなったので低速トルク改善に期待)
また、マニュアル車特有の問題としてクラッチペダルの反応が良すぎ、登り坂の加速中にクラッチが滑っているかのような症状があったものの、こちらもマイナーチェンジで改善が図られているとのこと。
総評
● 燃費が良くて軽油も安いので経済的
今回は都心から高速道路、国道最高所となる渋峠や湯の丸高峰林道や鳥居峠林道などの未舗装林道も含めて700㎞以上走行、涼しかったためエアコンを余り使用していない要因があるもののトータルの燃費は16.9㎞/L。
往路の高速道路ではメーター表示で21㎞/L以上の数字も出ていたので、軽油がレギュラーガソリンよりリッター単価20円ほど安いことを考えると非常に経済的。
● バランスの良いよくできたクルマ
総じて特に大きな不満もなく、コンパクトSUVの中でもバランスの良いよくできたクルマ。
日帰り登山であれば4人でも無理なく使える。
オプションカラーのソウルレッドクリスタルは派手過ぎず、曇り空の下でも存在感のある色。
強いて言えば、もう30万円追加すると1クラス上の2.2LディーゼルのCX-5 XDプロアクティブが買えるので、車両価格が割高なのが玉に瑕。
(試乗レポート&写真:登山口ナビ 吉田 岳)
テスト車のデータ
マツダ・CX-3 XDプロアクティブ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4,275×1,765×1,550mm
ホイールベース:2,570mm
乗車定員 :5名
車重 :1,250kg
駆動方式 :FF
エンジン :2リッター直列4気筒DOHC16バルブ直噴ディーゼルターボ
ミッション:6速MT
最高出力 :105ps(77kW)/4,000rpm
最大トルク:27.5kgm(270Nm)/1,600-2,500rpm
燃費 :JC08モード 25.0km/L WLTCモード – km/L
タイヤサイズ:前 215/50R18 92V 後 215/50R18 92V(トーヨー・プロクセスR40)
車両本体価格 :¥2,667,600(消費税込) ※特別塗装色代¥64,800含む
オプション価格:¥97,200
オプション装備:ドライバーポジションサポートパッケージ(運転席10Wayパワーシート&シートメモリー、運転席&助手席シートヒーター、ステアリングヒーター) ¥64,800、CD/DVDプレーヤー+フルセグ地デジTVチューナー ¥32,400
テスト車の年式:2017年式(マツダ広報車両)
テスト実施日 :2018年5月12日
テスト距離 :713.3km
走行ルート割合:市街地 / 高速道路 / 山間部 = 10 / 50 / 40
使用燃料 :43.2リッター(軽油)
参考燃費 :16.9km/L(満タン法)/ 17.0km/L(車載燃費計表示値)